今回は、だれが介護するのか?を取り上げます。
親に介護が必要になったらどうすればいいのか。両親の介護義務について。
まずよくある問題です。
「同居している嫁が介護するべき」という定めは法律にはないです。
昔に比べると減りましたが、「嫁」になると夫の家族の世話を任されることも、
決して珍しくはありません。
特に、長男の妻は、義理の両親との同居を求められた挙句、
家族の介護を任されることも多く、困っている方もいます。
家の中では、食事・排泄・入浴などあらゆる動作に介助介護・・・
疲れ果て・・
デイサービスに通うと、朝の準備(着替え・替えおむつなど・・)
夕方には、お迎えの時間に家に・・・。
1週間・1か月までは、頑張ってきたが、ダメになっていく方が多いです。
法律で介護義務はあるの?
法律上、妻の義理の両親への介護義務はどう扱われているの?
民法877条1項では「直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある」と
あります。
「直系の血族」とは、祖父母や父母、子どもや孫などです。
親の介護、その義務を負うのはあくまで血のつながった息子や娘たちや
子どもの配偶者であり、あくまで「姻族(婚姻によってできた親戚)」である嫁には、
義理の両親を介護する義務はありません。
「長男の嫁が義父母の介護をするのは当たり前」、
「同居している嫁が介護するべき」などという考え方は、法律上は存在しません。
しかし、民法第752条では「夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない」と
定められています。
夫婦間の「協力」を考えるのであれば、夫が義理の両親の介護で困っている場合は、
妻がその介護を手伝う必要もあるかもしれません。
妻が義理の親の介護を抱え込む義務はない。
しかし、あくまでも義理の両親の介護の主体は夫とその兄弟姉妹です。
妻が介護を一手に担う義務はないのです。
夫に手を貸す場合は、きちんと自分が納得できるような状況になるように、
事前に夫やその兄弟姉妹とも話しあいをして、
責任の所在や役割分担を明確にしておきましょう。
役割分担のいざこざ事例
デイサービスなど社会福祉サービスを利用している場合は、
キーパーソンを決めておくことです。
サービス中の急変や転倒など緊急連絡先も役割り分担が必要です。
病院に向かう人など急な場合がほとんどです・・・。
同居している義父(義母)の介護は全くノータッチ。
デイの準備や急な用事でも電話に出ない。
自宅内に手すりは付けないでくれ。
トイレや風呂は一緒に使いたくない。
親の介護はしないけど、ペットの世話が第一。
モヤモヤ法律Q&A
民法第877条
1)直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある。
2)家庭裁判所は、特別の事情があるときは、前項に規定する場合のほか、
三親等内の親族間においても扶養の義務を負わせることができる。
3)前項の規定による審判があった後事情に変更を生じたときは、
家庭裁判所は、その審判を取り消すことができる。
法律上は、妻は義理の両親を扶養しなくてもいいようです。
民法第730条(親族間の扶け合い)
直系血族及び同居の親族は、互いに扶け合わなければならない。
生活が苦しければ実の親でも援助する必要はない
Q.別居している義理の父が要介護認定を受けたのですが、「介護費用がないので、出してほしい」と頼まれました。私達夫婦もぎりぎりの生活費で生活をしているし、共働きなので時間的な余裕もないのですが、どうやって介護すればいいのでしょうか?
A.親の援助は、あくまで「援助する余力がある場合」だけ
親側には、自分の子どもをしっかりと育てる扶養義務が発生しますが、
子どもが親に対して負うべき扶養義務は、あくまで、
「自分の社会的地位や収入などにふさわしい生活をした上で、余力のある範囲」のようです。
ごく端的に言えば、生活が苦しかったり、何かしらの事情があったりと、
子どもが親を援助するだけの余力がない場合は、
仮に実の親であっても援助しなくてもよいそうです。
自分たちの生活基盤を崩して、親の面倒を見ようとしても、
共倒れになってしまうかもしれません。
それよりは、役所をはじめとする適切な福祉の相談窓口に連絡をして、
できる限りの公的サポートを受け、自分の負担を減らすことを考えてください。
Q.義理の母が在宅では面倒が見きれなくなったため、介護施設に入ることになりました。この場合の費用は、長男である夫が全額負担すべきなのでしょうか?
A.親に対する義務は、兄弟誰であっても平等です。
生まれた順番や性別に関わらず、親に対する扶養義務はすべての兄弟・姉妹の間で平等に発生します。そのため、親の介護費用が必要な場合は、親の財産から支払い、足りない分を兄弟姉妹で折半のようです。
かかった介護費用を払ってくれない兄弟がいた場合は、
家庭裁判所に「扶養請求調停」を申し立て、調停委員を交えて、
話しあいをすることも可能です。
調停で取り決めた義務が果たされない場合は、
財産の差し押さえなどの強制執行が行われることもあります。
調停でも合意ができなかった場合は、裁判所で最終的な判断が下されるようです。
親に介護が必要になった場合
地域包括支援センターへ連絡
各市区町村に設置されている高齢者の暮らしをサポートするための総合相談窓口です。
介護・医療・保険・福祉などの分野において、保健師や社会福祉士、ケアマネージャーといった専門職、またはそれに準ずる人材が対応してくれます。
いろいろな相談が可能なので、「まず、何をしたらいいのかわからない!」という人は、各市区町村の役所にある「介護保険課」や「高齢者福祉課」へ問い合わせると、
地域包括支援センターの連絡先を教えてもらうことができます。
まずは早くから相談してことです。
介護が必要ではない段階から、親が高齢者になったタイミングで、
一度連絡しておくのもおすすめ。
親の現状を把握すべく、主治医へ相談も
また、介護保険サービスを利用する際に、担当する主治医の意見書が必要になるため、
「介護が必要になるかもしれない」という旨を、親の主治医に伝えておきましょう。
ケアプランはさまざまな条件によって変わってきます。
市区町村に連絡し、要介護認定を取得
介護保険サービスを利用するために必要なのが、要介護認定の申請です。
「どのくらいの介護を必要とするか」という要介護認定の区分によって、
受けられるサービスや支援限度基準額の限度額なども変わってきます。
調査員による訪問調査や主治医の意見書に基づいて行われ、認定審査会で、
要介護認定の区分が決定します。
「要支援1~2」、「要介護1~5」までの7段階のどこかの区分に認定されます。
ケアプランの作成
要介護認定を受けた後、実際にどのような介護サービスを利用するべきかを記した
「ケアプラン」を作成しましょう。
本人や家族が作成することも可能ですが、一般的には介護のプロであるケアマネージャーが
作成します。
社会的サービスを利用する方は、ケアマネが窓口となり各方面に連絡・調整をしてくれます。
ケアマネの担当変更できます。
まとめ
兄弟姉妹とはいえ、それぞれ別の生活期間が長くなれば、
本音で話し合う機会は減ってきます。
しかも、親の介護というのは、急にどうするとなる場面が多いです。
まずは、サービスを利用してみて、調整すればいいのです。
サービスを増やしたり。減らしたり。
また、レンタル品を試したり・変更したり。
リハビリ専門職も完璧に最初から対応できる人もいません。
まずはやってみて他職種・みんなで調整です。
大切なのは、その家族それぞれの介護の形を探っていくことです。
この記事が少しでも参考になれば幸いです。
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