脳卒中は、ある日突然起こります。
昨日まで普段通り生活をして、元気に仕事や遊びをしていても
その時は突然・・・いつ誰に起きるかわかりません。
近年では若年世代にも脳卒中を発症して、私もリハビリを担当することがあります。
30~40代の子育て世代や働きざかり世代、医療従事者でも起こります。
発症すると時間との勝負となります。時間の経過とともに脳細胞が死滅するからです。
そのため治療は時間との勝負です。
しかし、若い世代は脳卒中の症状などに気づかず、何か調子が悪い・・・、
少し休めばよくなる・・・。少し様子を見たことで治療が遅れることがあります。
初期症状
・今まで感じたことのない激しいめまいと吐き気
・何かで殴られたような、または今までに経験したことのない激しい頭痛などがあります・・・
そこで脳卒中の予兆のキーワードがあります。
「FAST(ファスト)」脳卒中のサインを略語にしたものです。
Fは、「face」 顔の左右の半分が動かなくなり、口元が下がる
Aは、「arm」 体の片方の手足が動かない、力が入らなくなる
Sは、「speech」 話そうとしても呂律(ろれつ)が回らない、言葉がでない
Tは、「time」 時間時刻を確認してすぐに救急車を呼びましょう
突然、自分自身や家族、職場でこのような症状が現れ、いつもと様子が違うと感じたときは、
一刻も早く救急車を呼ぶことが大切です。
いざというときに脳卒中を見逃さないために、「FAST」の症状を覚えておきましょう。
脳卒中の原因
若年者の脳卒中は少ないですが、若くして発症すると長期にわたり患者や家族にとって
負担となります。就業等の社会生活においても配置転換や退職など問題となることがあります。
若年者では血液凝固異常症や血管奇形など特殊な原因があります。
初期症状では、見過ごされることがあります。
その診断・治療においては専門的な知識と経験が必要ですので、救急病院で診断が必要です。
その中でも比較的高く重要と思われる原因疾患について簡単に説明します。
若年性脳梗塞にはまだ不明の部分も多いですが、
因果関係が比較的はっきりしているのが、奇異性脳塞栓症、もやもや病などがあります。
奇異性脳塞栓症
奇異性脳塞栓症とは静脈系でできた血栓が、卵円孔開存や肺動静脈瘻などの右左シャントを
通って左心系に流れこみ脳梗塞を生じる病態。
重たい荷物を持ち上げたときやスポーツ、排便などの負荷がかかったときに一時的に
圧が上昇し、血栓が右心系から左心系に移動し脳循環に入ると脳塞栓症を引き起こします。
血液凝固異常症による脳梗塞
若年脳梗塞や原因不明の脳梗塞で高い頻度に認められる病態。
血液凝固異常症の多くは血液検査によって判明することが多いです。
脳動脈解離
脳動脈解離には血管が狭窄または閉塞することで脳梗塞となる症例と、
くも膜下出血となる症例があり、両方を併発する場合もあります。
原因は不明の場合も多いですが、交通事故などの外傷やゴルフなどのスポーツ、
カイロプラクティックによる頸部の回転が原因となる例もあります。
症例の約7割はあくびや頭に激しい痛みを訴えるため、初期症状のきっかけとなります。
脳動静脈奇形
脳動静脈奇形(AVM)による頭蓋内出血の好発年齢は30歳代と低く、
若年者の出血性脳血管障害の代表的な疾患です。
AVMの約40%はてんかんで発見されます。
AVMはMRIやMRA、脳血管撮影等の検査を行い調べることが重要。
リハビリ(急性期・回復期・在宅生活)について
脳卒中の診断にて入院治療が開始され、その後リハビリが始まります。
急性期のリハビリテーションの目的は、治療と同時に廃用症候群を予防し
ADL能力を改善していくことになります。
早期離床により合併症の予防、深部静脈血栓症(DVT)、褥瘡、関節拘縮、
下側肺障害など不動・臥床で起こる合併症は予防できます。
まずは、早期の座位・立位訓練から開始します。
その後に運動機能や日常生活動作(ADL)へと順次プログラムを進めていきます。
回復期のリハビリテーションでは、装具療法や運動課題など難易度を設定して反復運動を行います。
退院後の生活と職場復帰を目標として取り組んでいきます。
交通機関への乗降や家事など生活全般への課題からリハビリプログラムへとつなげます。
生活期のリハビリテーションでは、通院でリハビリを続けながら復職をしていきます。
生活上や仕事面で困ったことを共有してリハビリプログラムに取り入れていきます。
脳卒中の予防は、「ストレス」や「高血圧」「糖尿病」「高脂血症」などを防ぐ。
まずは、「塩分の摂りすぎ」「喫煙」「多量の飲酒」などは避け、
適度な運動をしてストレスを減らし、生活習慣の改善に努めましょう。
この記事が少しでも参考にならば幸いです。
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